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ADHDで中学や高校を不登校している悩み

ADHDで中学や高校を不登校気味になってしまっている、もしくはすでに不登校になってしまっている…本人もつらいでしょうが、見守る親もつらいですよね。実際にADHDで不登校になってしまい、通信制高校に通っている方のことをちょっと紹介します。

不登校とは

ADHDの発達障害で不登校になってしまった人の例を書く前に、「不登校とは何か」を整理しておきます。

不登校とは、年間30日以上欠席した人の中で、その欠席理由が病気や経済的困難などの理由以外の人をさします。健康で、経済的に学校に通えないという理由がなく年間30日以上休んでいれば「不登校」です。

年間30日というのは、11か月の平均で3日以上休めばすぐにカウントされてしまう数字です。12か月ではなく11か月としているのは、8月は夏休みのため通学日数が0日の中学や高校もあるためです。

不登校となる直接のきっかけは、学校生活に起因するものが36.2%と言われています。また、原因が本人にある(病気を含む)といわれるものが35.0%。このうちの多くにADHD、LDなどの関連があるのではないかといわれています。

人間関係がうまくいかない、勉強がわからないなどのことから迷惑行動と呼ばれるものを取るようになってしまうと、クラスで徐々に孤立していきます。クラスメイトからの阻害や攻撃を受けることもあるでしょう。本人にも原因がわからないこともあり、「よくわからないけど行きたくない」という状況も起きがちです。

では、実際に不登校になった人を受け入れた例から、ADHDの例を見てください。

女子、中学3年生から不登校

正義感の強い子で、どうにも同級生と折り合いがつかないことが多く、そのうちクラスメイトから敬遠されるようになってしまった子です。学校に行けばトラブルも続き、通学路で待ち伏せをされて悪口を言われるという被害妄想も加わってしまい、不登校になりました。

実際に通学路で待ち伏せをされたかというとその真偽が定かではありません。なぜなら、彼女が「待ち伏せされた、悪口を言われた」と主張する日のその時間、生徒たちは移動教室で全員でバスで移動をしていた時間帯だったからです。

最初は通学だけして昼休み前に学校を抜けて帰ってくる、という状態だったのですが、そのうち授業時間中でも我慢ができないことがあると教室を飛び出して家に帰ってしまうようになりました。ADHDの診断を受けた際に行ったさまざまな検査で、知能にも遅れがあることがわかり、手帳を取って支援学級に移りました。

ですが、支援学級に移動したあとも「この子たちと一緒に勉強したくない、自分はこの子たちと違う」という意識が非常に強く、学校に通えなくなってしまいます。それが中2の時です。中3はまったく学校に通わず、とうとう卒業式にも出席しませんでした。

やりたいことを見つけて通信制高校へ

支援学級から全日制の高校(支援高校ではない高校)へ行こうとするのは実質不可能です。彼女が住んでいた県では、支援学級には内申(1~5の評価点)が付きません。教科書を使わない授業なので、普通級のカリキュラムと違うため、成績の評価は文章で行われたからです。そして、彼女の住んでいる県では、全日制高校へ進学するためには内申点が必要でした。

選択は2つ、定時制高校と通信制高校に絞られました。ですが、定時制高校だと学校行事への出席を要求されるということから、通信制高校を選ぶことにします。通信制高校は内申点がなくても、支援学級出身でも受け入れてくれるということでした。

彼女は勉強には不安がありますが、あこがれていた声優のレッスンを受けられる声優コースがある通信制高校に進学しました。週に1日通って声優のレッスンを受けるというコースから始めて、高校2年生の時には週3日学校に通うコースに移りました。

声優になるのは厳しい世界で、ものすごい倍率のオーディションを潜り抜けないといけません。レッスンと同時進行で、知的障がい者を受け入れてくれるレストランでのアルバイトを始めました。アルバイトは順風満帆というわけにはいかず、しょっちゅう途中で飛び出して帰ってきてしまうこともありますが、周囲の人の理解と協力を得て現在も続けています。

将来的に声優を目指すとしても、声優事務所に所属して、声がかかったときにすぐに行かなければならないのだといいます。時間に融通が利き、自分のことも理解してくれる彼女は現在のアルバイトを続けながら高校卒業後、声優になることを目指して頑張っています。

高校1年生の時、彼女は病気をしてしまいました。4週間にわたる入院と、その後のリハビリのためまるまる2か月ほどは学校に通えない期間がありました。ですが、通信制高校はその点生徒の事情に合わせてくれますので、お医者さんの診断書をもって単位認定試験を受け、単位を取ることができました。

男子、小学5年生から不登校

小学校低学年から出歩く、授業中に叫んでしまうなどの問題行動があったということですが、クラスメイトからのいじめを受けて不登校になってしまいます。学校に連れて行こうとすると暴れて周囲のものを壊すので、家に置いておくしかなかったと保護者の方は言っていらっしゃいました。

掛け算までは何とか頑張れたのですが、割り算のあたりから頑張れなくなってしまったということで、授業がまったくと言っていいほどわからなかったということも不登校の一つの原因ではないかということです。

学校に行かないまま小学校を卒業し、中学校へ入学しましたが、中学校も一日も行かないまま卒業しました。その中学校の卒業生が通っていた通信制高校の教員が夏休みに中学訪問をして、「今〇〇くんはこのように頑張っています」という話を中学の時の担任の先生としていたときに、そういえば完全不登校の子でも受け入れは可能ですか?という話になって、通信制高校の先生が「受け入れ可能です」と返事をしたことから保護者に話が行き、入学することになりました。

完全な通信制で、授業はネット授業だったのですが、彼はまったく小学校5年生から上の勉強ができていない状態でしたので、動画を見ても全く分からず、レポートも仕上げられないという状態でした。

保護者と担任との相談の結果、なんとか高校3年生までに高卒の範囲までは追いつくということを目標にして、彼がつまづいた割り算からスカイプ授業を始めました。ですが、割り算も思うように進まず、よく調べたところどうやら繰り下がりからつまづいていたことがわかりました。

「大学に行きたい」という夢

担任の先生との二人三脚で勉強を頑張った彼は、高校2年生の時に通信コースから通学コースにコース変更します。理由は、1年生の時にスカイプ授業をしてくれて親身に相談に乗ってくれた担任の先生が2年生にも持ち上がったため。「あの先生に会えるなら行く」ということで通学コースにしました。

もともと、規則正しい生活リズムができてしまえば守れる子だったため、週5日コースに通えるようになります。ですが、クラスでみんなと一緒に授業を受けられるレベルではなかったため、職員室にひとつ机を用意してもらってそこで勉強することになりました。担任の先生が授業がないときはそこで一緒にやり、担任の先生が授業でいないときは他の先生に声をかけてわからないところを聞けるようにもなりました。

そして、高校2年生の3学期になって「大学に行ってみたい」と言い出したのです。担任の先生は彼と一緒に考えて、こんな答えを出しました。「数学と理科は追いつくのが正直言って難しいので、私立の文系でできるだけ少ない科目数で入れる大学を探そう。作文も苦手なので、小論文もないところを探そう。入れる学校はきっとあるはず」と。

レポートをきちんと出す、教室にも入れる訓練をする。クラスメイトとの距離の取り方や、自分が熱くなってしまった時のクールダウンの取り方も勉強しながら国語と英語の2教科で受けられる大学を探し、9校受けたうちの1校に受かって、彼は大学に進学していきました。

大学に進学すると、今度は自分で自分を管理しなければ誰も面倒を見てくれない世界です。その中で彼はわからないところがあると高校に戻ってきて担任の先生に質問しながらなんとか大学生活を終え、小さな会社ですがちゃんと正社員として就職することができました。

ADHDは普通の高校へ行けないのか?

正直に言って、周囲の理解がないと難しいと思います。理解は担任だけではだめです。クラスメイトの理解が何より重要です。いろいろな事情を抱えている子がたくさんいる学校のほうが、クラスメイトの理解も得られるのではと思います。

ADHDの子が苦労する、「自分の気持ちをコントロールできない」「何でこれが他人の迷惑になるのかわからない」「他人の気持ちが理解できない」ということは、実は多かれ少なかれ健常者といわれる人たちも持っています。

ADHDになっているのが問題なのではなくて、そのコントロール方法を学ばずに成長してしまったことが問題なのです。普通学級では、このような気持のコントロールは学びません。支援学級ではクールダウンの方法も含めて教わりますし、実際に自分の気持ちをコントロールする訓練もします。

ですので、ADHDの要素を持っているにも関わらず、不登校になってしまっているとこの点の訓練を受けることができていないまま大きくなってしまったということになります。家庭では自分の思う通りになることも多いので、気持ちのコントロールのトレーニングは「外」でしかできないと思っています。

大人になれば気持ちのコントロールが上手にできるようになる人もいますが、それは少数派です。ADHDの特性を理解してもらうことも、自分自身がADHDの特性を理解することも大事です。放っておけば治るというものでもありませんが、全日制高校のように人間関係の密なところに放り込むのも人によってはこじらせてしまうことがあります。

通信制高校のようにゆるやかなつながりの中で、自分の成長の速度に合わせて成長していけるのが一番幸せかなと思っています。

ADHDの進路の悩みは誰に相談したらいい?

ADHDの保護者の方が学校に相談することは少ないと言います。なぜかというと、義務教育中に学校に相談すると、すぐに「検査を受けてください」「支援学級に入ってはいかがですか」と、普通学級から支援学級への移籍をすすめられるからです。

これは、学校だけに問題があるのではありません。学校は集団教育のため、40人学級なら40人の最大公約数に向かって授業をしなければならないからです。ひとりひとりに合った授業をしなければならない、というのはシステム的に無理に近いのではないかと思います。

マスコミに出ている教育者たちは「公立学校こそ1人1人に合ったサポートをすべき」と言います。ですが、私はそれは不可能に近いと思っています。超人的な先生がいれば話は別ですが、全体を見つつ、ひとりひとりをフォローしなければならないということはどこかにひずみが出てきます。

授業中に授業が分からないことに腹を立てて、教室を出てしまった生徒を追いかけたら、保護者からはその先生が批判されてしまうご時世です。批判の理由は、「授業を受けたい39人を放り出して1人を追いかけたから」です。子どもには授業を受ける権利があります。ですが、それを40人全員には適用できないときは、多数のほうが優先されます。

そんな時は支援学級に移るのも有効な方法です。公立小中学校の学級編成の標準人数は現在40人です。公立高校も同様です。特別支援学級だと8人に1人の先生を付けることが義務付けられています。支援学級は普通学級の5倍のケアが受けられるのです。

特別支援学校へ行くと生徒6人に対して1人の先生が付きます。ただし、ADHDも程度によっては知的障害の診断がつかない場合がありますので、特別支援学校へは通えないことがあります。

支援学級へ行っても、通信制高校に入れば全日制を卒業したのと同じ卒業証書がもらえます。高卒資格を取って社会に出ていくことができます。ゴールは小学校や中学校ではありません。高校でもなく、その先の社会のはずです。

ADHDとは非常に幅が広いので、一概に支援級から通信制高校をおすすめすることはできません。ですが、もしお子さんが普通級で辛そうにしているのであれば、一時避難の場として支援学級に「避難」し、そこで処世術を学んで高校からまた再出発してもよいのではないかと私は思います。

資料
不登校の現状に関する認識(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/futoukou/03070701/002.pdf

資料
学級編成及び教職員定数に関する基礎資料(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/__icsFiles/afieldfile/2010/07/15/1295763_9.pdf

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