起立性調節障害で高校中退・留年してしまったら

起立性調節障害の好発年齢は10歳から16歳です。16歳というと高校1年生ですね。15歳までは変な話、学校に行かなくても自動的に卒業することができますが、高校生にはその論理は通用しません。義務教育終了、退学も留年もありうるという状況の中でどのような選択肢があるのか例をお話しします。

高校生で起立性調節障害。その時親は?

なんとなく学校を休みがち、夜になると元気、でも朝は本当に具合が悪そう…と思って受診したところ、起立性調節障害という診断を受けてしまったとしたら、親はどうしたらいいでしょう?

私の知っている中で一番すごかったのは、

  • まず、診断書をもって学校に行き、担任と保健室の先生の理解を求める。
  • その場でテストなどの時間をずらしてもらうこと、何とか卒業まで在籍させてもらえることの約束を取り付ける。
  • 本人はほとんど学校へ行けなかったものの、中退も留年もせずに卒業。

というスピーディな行動をとったお母さんでした。

こんな方はまれで、ほとんどの方は「起立性調節障害」の病名を受けて、ちょっとおろおろして、悲しんで、それから「どうしよう」となるものだと思います。前述したお母さんは診断書が出た即日に2番目の「約束を取り付ける」までクリアしたのですが、たいていの方はそうはいかないでしょう。ちょっと様子を見て、やっぱり学校に行けなそうなので、そこで初めて「どうしよう」となるのが普通だと思います。

そこからでも遅くないので、診断書をもって学校に行きましょう。本人に任せていてはいけません。これは直接保護者と学校が話し合わなければならない問題です。

学校で何を話すか

まず、診断書を見せて現状とお医者さんの言ったことを担任と学年主任の先生に伝えてください。そして、お子さんの現況と、これから起こりうることを伝えてください。

朝に弱いこと。
午後なら元気になれるが、通学に支障が出る可能性があること。
特に電車通学の場合などは途中で倒れてしまうなどのことがあるため、サポートが必要なこと。
体育や朝礼など、あるいは修学旅行などはいけない可能性があること、行くとしたらサポートが必要だということ。

症状の重い軽いによって違ってくるので、お子さんに合ったことをお伝えくださいね。特に体育では配慮がないと大変な不安を覚えてしまうと思います。

そのうえで、次のことを相談してください。

  • 体育の授業には出られない(可能性がある)。その場合、体育の単位は何に振り替えられるか。
  • 午前中の授業に出てこられない可能性がある。その場合の授業の単位はどうなるか。欠課になるとどう単位に影響するのか。
  • 単位そのものはこのような日常生活で取ることは可能なのか。

学校側の反応によっても変わってくると思いますが、その相談の結果を踏まえて、次のような依頼ができたらよいと思います。

なんとか卒業させてもらえないか。

なぜ、卒業を主眼として話すか。それには次のような理由があります。

起立性調節障害はいつまでも続くものではない

起立性調節障害は上手に環境調整が行えて、病院と連携していく治療が進めば2~3年で軽快するものです。高校1年生で発症したとしても、高校を卒業するころには治まっていることが多いのです。

でもそれには、きちんと環境調整をしなければいけません。その子が安心して落ち着いてゆったりできることが何より大切です。起立性調節障害になっても別に知能に影響が出るわけではありません。最終的にどうするかということを考えると、ここで無理に学校へ行かせたりする必要もありません。ですが、ここで「もう普通の高校は無理」とあきらめる必要もありません。

卒業さえできれば、上位学校へ進学することもできます。就職することもできますが、おそらく欠席日数の多さが就職活動に響いてくると思いますのであまりおすすめはできません。良い条件で就職することは難しいと思います。 

起立性調節障害になってしまったら、よりよい将来のために高校時代は治療に専念し(勉強ももちろんんして)、高校卒業資格をもらい、上位学校へ進学して卒業し、就職…という流れが最善だと思います。むしろ高卒後すぐに就職、は正直言って困難だと思います。

同級生と同じ進度で進むには、なんとか学校の理解を取り付け、今いる高校で卒業させてもらうのが最善の策です。

ですが、もし面談の際に「うちの学校では難しい」と言われたら?実際、進学校などだとよくあるのですが、授業にも出ないのでは単位は上げられない。体育の単位も、実技授業に出ないであげるわけにはいかない。といわれることもあり得ます。実技授業に出る生徒と実技授業に出ない生徒に同じ点数は上げられないという学校側の都合もあるからです。

おそらく医師による診断書があれば、そこまで強引なことは言われないと思います。杞憂に終わればよいのですが、もし中退を強行されてしまった場合はどうしたらよいのでしょうか。

高卒資格を取るために

起立性調節障害の場合、症状は治まるということ(一生持っているものではないということ)を考えると、普通に高卒資格を3年ないし4年(大学へ行くなら一浪したのと同じ年)で取得するのが良いように思います。高校3年間ではちょっと「普通」の人たちと足並みがずれてしまうかもしれませんが、ゴールでそろっていれば問題ないのかなと思います。

でも在籍している高校を中退せざるを得ない状態になってしまった場合は、なんとか学校と交渉して、現段階で取れる最大の単位を取得してください。そのうえで通信制高校へ編入することをおすすめします。

最大の単位を取っておくというのは、通信制高校へ編入した時にできるだけ今までいたのと同じ学年に編入するためです。たとえば、2月で退学してしまうとその学年の単位は取得できません。高校1年生の2月で退学してしまうと、次の編入のタイミングは4月。そして、4月にもう一度高校1年生として編入学しなければならないことになるのです。

3月まで在籍し、テストは別日程を設定してもらうなどしてその学年の単位をとれるだけ取っておくことが、学年として遅れをとらない大事な要素になります。

印象に過ぎないかもしれませんが、通信制高校の先生方は起立性調節障害の生徒の理解が全日制高校よりも深い気がします。もちろん、起立性調節障害の生徒さんがいない通信制高校はないくらいに一般的ですので、よりたくさんのタイプの生徒を知っているはずです。

また、通信制高校はスクーリングという対面式授業がありますが、これにも選択肢を持っている学校もあります。合宿タイプで、2泊3日の合宿で1年分のスクーリングをしてしまう学校もあれば、月に1度のスクーリングを設定している学校もあります。通信制高校は学校によって本当にいろいろなタイプがありますので、必ず資料を請求して見比べてみるようにしましょう。資料は一括で請求出来て便利です。

起立性調節障害の通信制高校選び、気を付けておきたいこと

起立性調節障害の場合、気を付けておきたいことが一つあります。それは、「自分のうちからの距離的な近さ」です。

多くの起立性調節障害の子たちが、通学を不安要素の一つとしてあげます。通学している間に何かあったらどうしよう、眠気に襲われてしまったらどうしよう、めまいが起きてしまったらどうしよう…などという心配がいつも付きまとうのです。通学に不安があると通えなくなってしまいます。

そのため、通学時間は長くても1時間。できたら30分以内にしてください。通学する時間帯にも配慮をしてもらえるか調べてください。満員電車などは拷問です。通学・通勤ラッシュの時間にぶつからないような配慮をしてくれる学校もあります。また、スクーリング会場への親の同伴を認めているところもあります。

学校が決まったら、入学前に先生と面談しておきましょう。カウンセリング室がある場合は、カウンセラーとも、保健室の先生とも面談が必要です。診断書があると話がスムーズに進むでしょう。学校生活においてどのような配慮が必要なのか、体育はどの程度出席しなくても平気なのか、スクーリングを欠席してしまった場合は振り替えられるのかなど、確かめなければならないところはいろいろあります。

起立性調節障害は長い風邪のようなもの。心の安定と環境への安心が一番大切なので、その子が安心できる環境で、のびのびと高卒資格がとれるように整えてあげてください。

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