起立性調節障害の人は通信制高校がおすすめな理由

立性調節障害の人に通信制高校がおすすめなのはなぜでしょう?通信制高校で
起立性調節障害を受け入れた経験から、起立性調節障害と通信制高校は相性が良い理由についてまとめました。

体験談:男子(高2の9月から編入)

高校2年生の9月に編入してきた彼は、中学校1年生から
起立性調節障害に悩まされてきたとのことでした。保健室登校を繰り返しながら卒業し、定時制の昼間部に入学しました。高1の貼るころからとても具合が悪くなり、朝起きようとすると吐いてしまうことも。

休学しようと思ったけれど

あまりに具合が悪く、午前中はまったく起き上がれない日も続いたため、薬物治療をするとともに学校に休学を申し入れました。学校は休学を快く受け入れてくれたものの、6年までしかいられないので休学は最大3年間ということを念押しされます。結局夏休み前から休学しました。

彼は外向的な性格だったため、同級生とはSNSでつながっていました。クラストークにどんどんついていけなくなってしまったと感じたのが秋ごろ。決定的だったのは1月編入で入ってきた編入製たちです。クラスのグループトークに知らない子がどんどん入ってきて、みんなが自分の知らない話で盛り上がっているということが気持ちを落ち込ませてしまい、結局高校2年生の夏前に自主退学してしまいました。

高1からの単位のとりなおし

年齢は高校2年生になっていますが、休学して1年生の単位は取っていないためまた1年生で入学することになります。環境が変わったとはいえ、すぐに前向きな気持ちになれたわけではありませんでした。友達ができるだろうか、通信制高校って本当に学校に行かなくていいのだろうか…。そんな思いが複雑に絡まって、彼は新しく入学した高校に夏休みまでいけませんでした。

初めて学校に行けたのは、夏休みのスクーリングの時でした。担任の先生が
起立性調節障害に理解ある先生だったため、午後からのスクーリングで単位がとれるように調節してくれたのです。

1学期の単位認定資格は受けられなかったため、夏休みに補講という形で誰もいない学校に夕方通い、先生と1対1で授業を受けました。夏休みに補講に来ているのは彼だけではなかったので、そこで知り合いもできました。知り合いができたことで、徐々に通学できるようになっていきます。

彼にとって救いだったのは、高校1年生のクラスに自分より年上の人が数人いたことです。高校1年生なのに17歳、という迷いをその人たちの存在が消してくれました。一度中卒で社会へ出たけれど会社の人に「やっぱり高校は卒業しろ」といわれて送り出された18歳、保護施設に入っていたため高校に入るまで2浪してしまった18歳、独学で高認資格を受けようと思っていたのだけれど挫折してしまって通信制高校に入ることにした19歳などがいました。

19歳の子が20歳の成人式を迎えるときはクラスみんなでお祝いしたりして、彼は少しずつ自分の居場所を見つけていきました。相変わらず午後からしか学校へ行けない暮らしでしたが、クラスのみんなも同じような感じだったので浮かずに済んだことはとても良かったといいます。

卒業後は二浪して大学へ

高3の夏になっても、
起立性調節障害はよくなる気配がありませんでした。一番ひどかった時よりはよくなりましたが、それでも午前中は起きられない日が週に2日ほどありました。しかも、どうやら季節の変わり目にひどくなるらしく、このままでは社会に出られないと思った彼は、大学に進学することを決めます。

この状態では就職できないだろうと思ったのと、現在の病状では就職できたとしても通勤できないと思ったのが主な理由でした。

まじめに勉強して大学を受験しようとしましたが、なんと受験当日の朝、ストレスからか起きられなくなってしまいます。親御さんが受験会場まで車で送りましたが、まったく頭が働かず、1年目はそれで終わりました。大学に合格したのは2年目のことでした。

体験談:女子(高2の4月から編入)

起立性調節障害は人によって出る症状がそれぞれなのですが、彼女は大変低血圧になってしまい、学校生活を送ることができなかったということです。朝学活で立ち上がる行為、立っていなければならない朝礼などが彼女をどんどん学校に行かせなくさせていきます。実際、朝礼のときに倒れてしまったことも数回あり、朝礼に出ないと「さぼり」といわれてしまったため、学校にも行きにくくなってしまいました。

テストは別室受験、登校は午後から保健室登校を経て、普通の全日制高校へ入学します。ですが、高校になっても症状はあまりよくなりませんでした。午前中はいけない、午後から保健室登校…という時期を経て、高1の秋には保健室登校もできなくなってしまいました。

留年をすすめられて中退

このままでは単位が取れません。学校に相談したところ、留年をすすめられました。ですが、留年すると同級生の学年は上になってしまい、年下の子たちと一緒のクラスに通わなければならなくなります。

このころの彼女は慢性疲労症候群にも陥っていたようで、かなり無気力になり、ストレスのため涙が止まらない辛い日々を送っていました。その中で留年するという決断がどうしてもできず、学校を辞めると学校に申し入れます。

彼女は成績が良かったため、先生は一生懸命引き留めたそうです。今すぐ辞めないように、形だけでいいから3月に行われる学年末の試験は受けなさい。そうすれば高校1年生の単位は取れる。高校1年生の単位があれば、高卒認定試験を受けるにも科目免除が受けられる、通信制高校へ行くにも2年生から編入できるとアドバイスをもらい、なんとか3月初めの学年末試験を受け、単位を取ります。勉強ができる状態ではなかったので、結果は惨憺たるできだったそうです。

4年で通信制を卒業

通信制高校の2年生に編入した彼女ですが、2年間は教科書も開かなかったそうです。かなり焦っていたようですが、編入時の面談の時に「通信制高校は何年いても退学はありませんので、ゆっくりよくなるのを待てばよいではないですか。同じような子はたくさんいますよ」といわれたのが心を楽にしたといいます。

実際、1年間は「こんなことでいいのか」と悩み、精神的につらかったそうです。2年目は「もういいや、一生続くわけでもないし」とのんびりできたといいますので、1年間休んだことで気持ちの整理ができたのではないかと思います。症状が少し落ち着いてきたというのもあるでしょう。

みんなより2年間遅れて3年生になった彼女は、お母さんに勧められて海外留学を志します。お母さんは、「海外なら多少の年齢の遅れは気にならないし、日本にいるよりも多くの経験ができる」と彼女の背を押したそうです。

卒業後は留学へ

留学しようと決めても、今まで特別に英語が優秀なわけではありませんでした。海外の大学に留学するには、留学に必要なTOEFLやSATという学力試験のスコアを申告しなければなりません。そのような勉強はしたことがなく、TOEFLを受けたこともありませんでした。

高校3年生の時には症状は少し軽くなっていましたので、まずTOEFLやSATの試験を免除してくれるところを探しました。予備校のようなところで、TOEFL対策をしながら留学に関する知識やテストの勉強を教えてくれるところがあったため、高校3年生時はダブルスクールのような形でその学校に通います。

大学のレベルを選ばなければ、評定平均が3.0でアメリカの大学に進学可能ということがわかり、あとはTOEFLの勉強をするだけです。努力の結果、標準的なアメリカの州立大学に進学ができました。文化も人種も違う、自分を誰も知らないところでのびのびと大学生活を送り、日本に帰ってきて就職しています。

留学経験と、語学堪能ということは就職に関しても大きなリーチになりました。少し人よりも回り道をしましたが、遠回りしただけの価値があったと話しているのを聞きました。

なぜ通信制高校なのか?

起立性調節障害を持っていると、普通の人と同じテンポで生活することができません。原因はいろいろあるようですが、普通のテンポで生活すると非常にストレスになったり、倒れたりしてしまうのが起立性調節障害です。

普通の状況に置くとストレスになってしまい、そこから鬱になってしまう可能性もあるようなので、まずは「学校に無理に行かなくてよい」という状況を作ってあげられるならそちらのほうが良いと思います。

また、起立性調節障害はクラスメイトから「さぼってる」と思われてしまい、そのことが心を傷つけるきっかけになってしまったりします。

通信制高校は、いろいろな事情を抱えた生徒が通っているところです。緘黙の生徒もいれば、ずっと引きこもりだった生徒もいます。そうした子たちは、人との距離の取り方が非常に遠いです。ですが、自分も事情を抱えているだけに、他の子の事情についてもとても寛容です。

事情のある子や人間関係が苦手な子がいるという前提で、担当教員も人間関係をうまくいかせるにはということや、他人との距離の取り方について教えることもあります。通信制高校によっては、教員が生徒同士の相性を考えて友達作りを手伝うこともあるようです。

通信制高校入学にあたって気を付けたいこと

起立性調節障害の子たちのなかには、「理解されない」ということにすでに傷ついて疲れている子もいます。自分のことを説明するのも苦手です。そのため、起立性調節障害の生徒がすでに上級生として、あるいは同級生として在籍している学校を選ぶとよいでしょう。

卒業生のコメントなどで、そういったことを知ることもできますので、資料にはぜひ目を通しておいてください。それでもわからなければ説明会で直接訪ねるのが良いでしょう。

いずれ通学コースに移る可能性も十分にあります。授業の始業時間や終業時間も調べておきたいものです。

ちゃんと起きる、ではなく、自然に起きる

通学コースに移るには、「まず朝起きる」ということが大事になってきます。ですが、これを起立性調節障害の子に強要してはいけません。それができないから起立性調節障害と診断されているのです。

無理に起こそうとするとストレスになります。起きるための体のリズムを整えるメラトニンというホルモンに働きかける方法もありますので、ご紹介しておきます。ただし、これも強要してはいけません。これを使いたくないのに無理に部屋にセットしたりしないようにしてください。

inti4という光時計なのですが、太陽の上る時間に合わせてブルーライトを浴びることによって体内のホルモンを「目覚め」の時間にもっていこうというメカニズムです。体内時計を整えて、朝は起きる・夜は寝るというリズムにすることが必要なのですが、朝は起きるということを先にやっておかないと、夜は眠くなりません。

目覚ましが鳴ってから起きるまでの時間を、負担なく苦痛なく短縮していくために使っている人が多いようです。自然に起きられたら、夜は眠くなります。それを続けていくうちに、きちんとしたリズムが戻ってくる可能性があります。

睡眠の本には、「カーテンを開けて寝るとよい」と書かれているものもたくさんあります。カーテンを開けて寝るのと同じような効果を部屋の中で出せるということで、朝日の入りにくい部屋にセットするとよいと思います。

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