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高校生で妊娠したけど卒業したい。退学させられるのはなぜ?

2019年現在の日本の法律では、女子は16歳以上で結婚ができます。

16歳以上の女子が結婚し、それに伴う出産や育児を行うことは何ら問題ないはずです。ですが、現実の日本の高校では「妊娠したら退学、育児をやりながらの通学は無理」と自主退学を突き付けられるケースがあります。

これはなぜなのか、妊娠しても勉強を続けるためにはどうすればいいのかまとめました。

妊娠したら退学は本当?

日本の公立高校では、現実問題として妊娠したらまず自主退学をすすめられます。2015年度と2016年度に行われた調査で判明しましたが、この2年間で妊娠・出産を理由とした「学校側からの退学のすすめ」があり、それによって退学した件数が32件あったことがわかりました。

この文科省の調査によると、2年間で高校生の妊娠が発覚したのは2098件あったようです。そのうち、全日制高校は1006件、定時制高校では1092件でした。このうち、退学した件数は642件です。約3割の生徒は妊娠が発覚した時点で退学しているということがわかります。

自主的に退学した例を除くと、学校から退学をすすめられるという例が32件に上りました。この32件のうち、生徒や保護者が「退学はしたくない、通学し続けたい」「通えない期間は休学を希望したい」という主張をしたにも関わらず学校からの強いすすめによって退学したケースは18件に上ります。

妊娠したら退学しなければならない、という風潮は今なお健在のようです。では、なぜ、妊娠・出産すると「高校生」でいられることはできないのでしょうか?

退学しなければならないのはなぜ?

これはほとんどが学校の都合によるものです。法律的に禁止されていない以上、妊娠・出産を高校生時代に迎える女子生徒がいたとしても何ら不都合はないはずです。

ところが、高校のカリキュラムは妊娠・出産する生徒がいることを前提としていません。

例えば体育の授業において、妊娠を理由にずっと見学する生徒がいた場合、そこに特別措置は認められていないことが多いのです。ずっと見学を続けていては、体育の単位は与えられません。なぜなら、体育の授業には参加することが単位獲得の条件だからです。

ですが、体育の単位が取れないからといって妊娠中の女子生徒に無理に体育を強要することもできません。妊娠中の母体は大変繊細です。もしも流産などの事態が起きたときに学校として責任は取れません。

このようにカリキュラムが妊娠・出産ということに即していないため、学校にしてみると妊娠というのは「不慮の事故」という受け止められ方をしてしまうのです。

また、設備としての問題もあります。出産してしばらくたって学校に復帰してこようとしても、学校には託児所はありません。高校生は「保護者」がいることが前提になっていますので(未成年ですから)、そこに生まれた子供が「保育に欠ける」とは判断しづらいので、保育所にも入れないことになります。

保育所にも入れない、親も忙しくて預けられないということだと生まれたばかりの子供を学校に連れてこなければなりません。母乳育児の子供は満1歳前後までは授乳も必要です。そうした時に子どもを預けて勉強できる託児設備などは普通の全日制高校には設置されていないのが普通なのです。

こうして、設備や配慮、単位取得の問題等さまざまな要因のために、「悪いことは言わないから育児に専念するために学校をやめたほうが良い」という結論になるのです。ですが、これはいろいろな問題を生んでいます。

最大の問題は、若年層の貧困化の助長です。高校中退者の就職先は限られます。高収入を得られる職場などは就職できないのが普通です。子どもを抱えていれば、フルタイムの仕事も難しいかもしれません。また、高校生の妊娠の場合、多くのケースは父親も高校生などの若年層のことが多いのです。子どもに満足な教育を受けさせられない懸念も出てきます。

では、学校を退学しない方法はあるのでしょうか。また、それは裁判などに持ち込んだ時に高校生側が勝利できるのでしょうか。

退学しない方法はあるか?

文科省は2016年4月、国会の議員答弁の際、「妊娠退学は法令上の根拠がないため、学校が妊娠を理由に退学をすすめたとしても従う理由はない」との見解を示しました。法律で妊娠・出産が16歳から認められている現行法では、公立高校にそれを拒否する理由はありません。

受け入れが難しいという理由で拒否されてしまうのが一番困ります。妊娠しても学校には残れることになった、しかし卒業までのケアがほとんどない状態だったという高校では、妊娠が発覚した時点では辞めなくてよくても、単位が取れない、周囲の理解が得られないという点で結局高校を退学してしまうという例があります。

妊娠が発覚したら、まず教員たちの理解を得ること。自分が勉強を続けていきたいということを理解してもらったうえで次のステップに進みましょう。次のステップは「卒業できるようなケアの依頼」です。学校と対立姿勢になってしまうと、この依頼が非常に難しくなりますので気を付けてください。

休学期間が必要で、学校生活に戻ってからもさまざまな配慮が必要になります。体調が本調子に戻るまでは担任や教科担任はもちろん、クラスメイトの理解も必要になります。修学旅行などの学校行事に欠席しなければいけないことも出てくるかもしれません。

こうした問題が出てくると、えてして教員は敵視されがちですが、最初からけんか腰で交渉などは絶対にやめてくださいね。一緒に問題に対面して取り組んでいかなければならない仲間として、丁寧に説明し、理解してもらうまで粘り、一緒に卒業へ向けて進んでいってください。

注意!私立高校と公立高校は違う

公立高校は法律に準拠しますので上記のようになりますが、私立高校は別なので注意してください。私立高校は学校の校則に「妊娠を許可しない」に類する文言があった場合にはこの法律を根拠に「退学したくない」と生徒側が主張しても認められない可能性があります。

私立高校の経営元は学校法人です。私立高校に入学するということは、「その高校の定められているところに従います」という契約をしているということです。もちろん、公序良俗の範囲内であることは条件ですが、公的な法よりも私立高校に定められている学則のほうが優先されることがあります。

もちろん、法律で禁止されていない以上、裁判に訴えた場合は生徒側が勝つでしょう。そして、学校に通い続けることができると思います。ですが、設備もない、配慮もない、という状態が続くことは覚悟してください。

授乳はどこでしますか?

休まなければならない体育、どうやって単位を取りますか?

育児があれば部活などは参加できず、友達との時間も取れないかもしれません。

育児とはそういうものです。そして、生んだからには育てなければならない親の責任が生じます。

中退したくない、高校を卒業したい。大学にも行きたい。もちろん、そういう気持ちがあるのでしたら妊娠は避けるべきだというのが現在の日本の考え方です。ですが、望まない妊娠だったならともかく、望んで妊娠・出産したのなら育児の責任も果たしつつ、自分の勉学も頑張らねばなりません。その覚悟がないのなら無責任に生んではなりません。

現在の日本には、「生む自由」がもちろんあります。ですが、自由は責任の上に成り立ちます。現在の第一子を生む平均年齢は20代後半です。

もちろん、10代後半で生むという結論もありですが、この10年間分の重みはそのまま経済的な安定の重みでもあります。定職を持たない高校生が赤ちゃんを産んだ時、経済的にきちんと育ててあげられますか?

もし、それらもろもろの覚悟ができているのなら、何としても高校は卒業したほうが良いと思います。高校を卒業していないのと高校中退、あるいは中卒では、就職できる仕事の種類がかなり違ってくるからです。

受けられる資格試験の量も格段に違ってきます。親や周囲の理解も得られるのなら、なんとしても高校は卒業しておくことをすすめます。

妊娠・出産に理解のある高校はあるか?

一般的に、公立の定時制高校や公立の通信制高校には託児室が完備されています。小さな子を抱えるお母さんたちも生徒として入学してくることがあるからです。特に定時制が併設されているところでは必ずと言っていいほど託児室の設備はあります。

体育を休まなければならないといっても、実際の妊娠期間中と出産後の体調が整う時期まで約1年程度です。その1年分を留年という形にしてもらえるなら高校は卒業することができます。

保育所に預けるという選択肢もありますが、待機児童が多いこの時代、学生という立場はフルタイムで働いている家庭よりも保育園受け入れの優先順位は下がります。

なかなか保育園には入園させられないでしょう。それを考えると、連れてきて託児室で養護の先生に見ていてもらい、連れて帰るというのが一番よい方法のように思えます。

私立の通信制高校もおすすめです。子どもがいるとしても、通信タイプのコースを選べば、学校に連れて行かなくても自宅で学習して高卒の資格を取ることができるからです。

大学では成人が多いこともあり、学生結婚に理解のある学校がほとんどです。そのため、高校よりはむしろ学びやすい環境かもしれません。

また、この心配はないことを望みますが、高校生同士の妊娠・出産だった場合に男子生徒のほうが責任を背負いきれなくなり、自主退学して引っ越しをしてしまうなどはよくあるケースです。

このケースが多いからこそ、高校生同士の結婚はうまくいかないので大人になるまで待ったほうが良い、と社会的には言われているのです。

シングルマザーが決定してしまった場合、経済的にも援助を受ける必要が出てきます。学校の事務室で費用軽減の手続きなどをしてくれますが、これも教員の理解がないと不可能です。

一緒に卒業までを支えてもらうのだという意識はしっかり持っておきましょう。また、必要だと思われる情報はきちんと伝えておくことも必要です。

高校生のうちに妊娠・出産することは大変なことです。

なぜなら、高校生はまだ未成年です。すべてを保護者の保護のもとに行わなければならないため、自分に決定権があるものは実は一つもありません。実生活ではあると感じているかもしれませんが、法律的に定められているものは何一つないのです。

周囲の大人の手を借りて子育てしていかなければなりませんので、その点は自分が一人前ではないということはしっかりと覚えておきましょう。

男子生徒の場合は違う?

男子生徒の場合はちょっと違いますのでお気を付けください。男性は18歳以上から結婚することが現行法では許可されています。そのため、16歳や17歳で父親になってしまうということは法律で禁じられています。16歳や17歳では法律上、父親になれません。

ちょっと法律的な話になるのですが、18歳以下の未成年と性交することは「淫行条例」に引っかかります。

16歳以上なら女性は結婚を認められているのになぜ?と思われるかもしれませんが、結婚の意思なくそういうことを行うと淫行条例違反となり、結婚の意思があるならグレーですがOK、ということになっているのが現実のようです。

結婚できない年なので結婚の意思なし、と判断されれば、男子生徒の場合は裁判に訴えても敗訴する可能性が高いといわれています。

法律が見直される可能性もあり?

現在の法律は見直しの必要ありという声も高まっています。男子は18歳、女子は16歳となっている結婚年齢は実は終戦直後に決まったものですので、この年の差に深い理由はありません。むしろ、男性と女性は同等に扱うべきではないかという声が現在は主流です。

そのため、女性の結婚年齢も18歳からに見直そう、という声が2017年から高まり、実際にこのような規定も改正案に盛り込まれ始めています。

その場合は16歳から17歳の高校年代で妊娠・出産するということ自体の意味合いが変わってきて、法律的に許可されていないことになってしまいます。

法律的に許可されていないことを公立高校は守る必要がありませんので、法律が改正されたら妊娠・出産を理由とする退学はむしろ当たり前になってくるかと思います。その点は注意しておいてください。

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