なんとなく別物と思われがちな水道水とミネラルウォーター。
実際、スーパーで販売されているミネラルウォーターと水道水の値段を比較すると、ミネラルウォーターには水道水の495~1000倍 もの価格が付けられています。
なので、「ミネラルウォーター」というだけで、「体によさそう」「高いんだから水道水よりも良いはず」といったイメージが先行してしまうかもしれません。
ですが…!実は水道水はミネラルウォーターの1種なんです。
さらに、水道水とミネラルウォーターの成分比較をしてみると、成分上、違いがほとんどないケースも珍しくありません。
「美容・健康のために普段の飲み水を変えたい」とお考えの方、本記事で水道水とミネラルウォーターの違いと共通点を比較して、後悔しない飲料水選びに役立てていきましょう!
記事の目次
ミネラルウォーターと水道水の違い
そもそもミネラルウォーターは、以下の4種類に分類されます。
- ナチュラルウォーター
- ナチュラルミネラルウォーター
- ミネラルウォーター
- ボトルドウォーター
水道水は以上の中で、ボトルドウォーターに分類されます。
この4種類が分類される基準は、主に原水の違いと処理方法の違いです。どんな違いがあるのか、早速みていきましょう。
1.ナチュラルウォーター
ナチュラルウォーターとは、特定の地下水を原水とし、沈殿・ろ過・加熱殺菌のみの処理がされた水です。 採れたてそのままにこだわりたい方におすすめです。
2.ナチュラルミネラルウォーター
ナチュラルウォーターのうち、地層中のミネラル成分が溶解した地下水を原水としたお水です。
ナチュラルウォーターと比べると地下で滞留・移動する時間が長く、ミネラル分が多く溶け出ています。
日本国内で販売されているミネラルウォーターの9割を占めます。
3.ミネラルウォーター
ナチュラルミネラルウォーターを原水としますが、次の2点でナチュラルミネラルウォーターと区別されます。
- 品沈殿・ろ過・加熱殺菌以外に「ばっ気」という浄水処理を加えている。
- ミネラル成分や複数のナチュラルミネラルウォーターを混ぜることで味を調整している。
4.ボトルドウォーター
上記以外の、飲料水がボトルドウォーターです。 ほとんどがダムのお水や河川を水源としています。
処理方法に決まりはなく、浄水場で塩素消毒をして安全に飲める状態にした水道水や、「RO膜(逆浸透膜)」でろ過したRO水などもボトルドウォーターに分類されます。
ご紹介してきたように、ミネラルウォーターと水道水は、処理方法や原水に違いがあります。
また、それ以外にも、水道水とミネラルウォーターには飲料水として選ぶなら知っておくべき様々な違いがあるんです。次項目より、さらに詳しく見ていきましょう。
安全基準が違う
水道水も販売されているミネラルウォーターも、厚生労働省の定めた安全基準を満たしたお水である点で同じです。
ただ、取り締まる基準法や基準の項目に違いがあるんです。
ミネラルウォーターは、食品衛生法により43項目の規格基準が決められています。 一方で、水道水は水道法により51項目の水質基準が決められています。
基準の厳しさで見たら、水道水の方が安全基準が厳しいと言えます。
たとえば水道水には残留塩素が必須で、水道水の腐敗や雑菌の繁殖を防いでいることは広く知られていますよね。
かといって、水道水より基準の緩いミネラルウォーターが危険というわけではありません。
ミネラルウォーターの製造メーカーによっては、独自の水道水に負けない品質検査や基準を設けるところもあります。
製造元にどんな検査をしているのか確認すると安心です。
硬度や成分の違い
水道水とミネラルウォーターの成分比較をしてみましょう!
日本では、水道水のおよそ7割が軟水ですが、 含まれるミネラルの種類や量は、お住いの地域により異なります。
出典:https://www.city.kurashiki.okayama.jp/3101.htm
しかし、配水される水や硬度を選ぶことはできません。ミネラルウォーターであれば産地や硬度、含まれる栄養成分を選べるので、自由度が高いのは嬉しいポイントです。
スーパーでよく販売されているミネラルウォーターの成分は、以下をご参考ください。
商品名 | ミネラル(mg/L) | 硬度(mg/L) | |||
---|---|---|---|---|---|
ナトリウム | マグネシウム | カルシウム | カリウム | ||
いろはす | 8.1 | 3.2 | 3.1 | 2.3 | 20.9 |
天然水 南アルプス | 9.2 | 1.8 | 8.8 | 3.9 | 29.4 |
evian | 10.7 | 28.3 | 103.5 | 1.6 | 375 |
Volvic | 16.1 | 8.4 | 5.4 | 8.9 | 48.1 |
出典:「一般社団法人 北海道消費者協会」http://www.syouhisya.or.jp/test/kitakura442.pdf
硬度とはお水1000mlに含まれるミネラル含有量の高さを数値化したものです。
WHOの基準では、硬度が120mg/l以下を「軟水」、120mg/l以上を「硬水」と分類しています。
カルシウム・マグネシウムなどのミネラル成分によって、甘味や舌触りが変わるため、硬度が味の決め手になります。
-
- 静岡県富士宮市
ダイエットに期待されている「バナジウム」が豊富に含まれています。口当たりがまろやかで、後味がスッキリしています。
-
- フランス産コントレックス
硬度1500を超える超硬水。 マグネシウム・カルシウムの配合量が多いため、味に苦みなどのクセが強くて粘りがある、飲みにくいと言われることも。
-
- RO水
飲料水として基準を満たしたお水を0.0001ミクロンの超微細孔のフィルターを通してろ過し、水分子以外を除いた純水です。
純水のままだとミネラルが含まれず味気がありません。
メーカーによってはミネラル添付をして硬度30mg/L程度に整えるケースが多いです。 まろやかで、味に癖がなく飲みやすいと言われています。
飲料水の味や飲みごたえにこだわりたいのであれば、水道水よりもミネラルウォーターの方が向きます。
逆に、とくに水道水の味に不満がないのであれば、水道水を選んでも危険はありません。
ただし、水道水には微量な有害物質が含まれます。これは大人には影響がない程度の量とされていますが、赤ちゃんには負担が大きくなる場合があります。
詳しく知りたい方は、こちらの記事で水道水の安全性について紹介しておりますのでご覧ください。
地域によって硬度が異なる日本の水道水
日本の地質上、水道水のほとんどが軟水ですが硬水の地域もあります。
硬度が100mg/L以上の硬水の地域は、埼玉県熊谷市、千葉県木更津市、沖縄県全土の3つです。
これらの地域は、関東ローム層の影響を受けてゆっくりと水がろ過されるため、ミネラル成分が溶け出しやすく、硬度が高くなる傾向があります。
同じように、沖縄も石灰岩地層が多いため、ろ過の時間が長くなり水道水の硬度も上がります。
値段は水道水の方がミネラルウォーターよりも安い
水道水と販売されているミネラルウォーターの価格を多面的に比較するべく、水道水・浄水器付き・ペットボトル入りのミネラルウォーター・ウォーターサーバーの価格/Lを一覧にしてみました!
1L当たりの価格 | |
---|---|
水道水 | 0.1~0.2円 |
水道水 +浄水器※ |
16.1円+水道水料金 |
ミネラル ウォーター |
49.5円 |
ウォーター サーバー |
100~200円 |
お水1L当たりの価格は浄水器の種類とメンテナンスによって左右されます。 浄水器の価格は1,000円~RO 水を作れるタイプだと5万円前後~。
さらに高額なものだと数十、数百万円と幅広いです。メンテナンスの頻度や価格も製造元によって違うので、事前に確認しましょう。
もっとも価格が低いのは水道水です。 ミネラルウォーター1L分の価格=水道水247.5~495L分に匹敵します。
次いで浄水器を設置して水道水の活用をすると、ミネラルウォーター1Lの価格=水道水+浄水器を付けた際の3L分とほぼ同価格です。
ウォーターサーバーはもっとも高いという結果になりましたが、衛生面・安全性・おいしさから・利便性から根強い人気を誇っています。
利便性については、お湯や冷水がすぐ使えるので「赤ちゃんのミルク作りが楽になる」「来客の際に、すぐにおいしいお茶やコーヒーが作れる」「コーヒー機能がついていて手軽に本格コーヒーが淹れられる」など。
生活の質が大幅にアップするのがウォーターサーバー最大のメリットと言えます。 費用を抑えて、あなたにぴったりのお水を検討してみてください。
活用方法の違い
ここでは、水道水と市販のミネラルウォーターの使用に向くシーンをご紹介します。
ご自身のライフスタイルと照らし合わせて、市販のミネラルウォーターが良いのか水道水で十分なのか、ご確認ください。
水道水の活用方法
・自然環境・水資源を守る
日本の水道水は衛生基準が高く、安全な飲料水として使えます。
水道水を水筒に入れて持ち歩けば、ペットボトルの使用量が減って環境・地域の水資源保全への取り組みに繋がります。
うがいのお水に
塩素による消毒効果が見込めるため、風邪の発症率を約40%軽減すると言われています。
氷づくりに
水道水は塩素が含まれているため、雑菌が繁殖しにくいので氷づくりにもおすすめです。
ミネラルウォーターの活用方法
赤ちゃんのミルクづくりに
粉ミルクは軟水や純水で作ることを前提に作られています。 赤ちゃん用のミルクには、体に負担をかけない超軟水のミネラルウォーターがおすすめ。
ミネラルウォーターであれば水道水のように塩素やトリハロメタンのような赤ちゃんにとって危険な成分が含まれないため、10分以上の煮沸が不要です!
ミルクが簡単にすぐに作れます。
お料理に
販売されているミネラルウォーターであれば、水道水のような塩素による臭いがありません。 味もまろやかで、素材の味を邪魔しません。
コーヒー・お茶などの抽出に
軟水は素材の成分や味を引き出しやすいため、コーヒーやお茶が美味しくなります。
猫・犬・ペットの飲み水に
ペットには、赤ちゃん同様にミネラル成分ができるだけ少ない軟水のミネラルウォーターを選びましょう。 ペットの体に負担をかけません。
健康のために
ミネラルウォーターであれば、バナジウムや、カルシウム・マグネシウム・亜鉛など成分比較をした上でお好みのお水を選択できます。
健康や美肌などの美容効果を求めたい方に最適です。
ここまで水道水とミネラルウォーターの安全基準・成分・価格・活用法などを違いを比較してきました。
「ミネラルウォーターいいな!」と思われた方もいれば、「水道水のままで良い」と改めて結論を出された方もいらっしゃるでしょう。
以下では「ミネラルウォーターの購入を考えたい」方に向けて、ミネラルウォーターの選び方をご紹介します!
ミネラルウォーターはどれがおすすめ?
後悔しないミネラルウォーター選びを叶えるための、選び方の基準をご紹介します。
硬度
ご紹介したように、ミネラルウォーターは含まれるミネラル成分の硬度よって、軟水・硬水に分けられます。
軟水は日本人の慣れ親しんできた水質なので飲みやすく、ミネラルによる影響が少ないため赤ちゃんやペットの飲み水に向きます。
硬水はミネラルが豊富なので、ミネラルによるダイエットや美肌・美容効果を求めたい方におすすめです。
採水地
採水地によって硬度や、水の加工に対する意識がちがいます。
ヨーロッパでは、水質元が汚染されないよう徹底した環境保全が行われているため採水した水に殺菌処理を加える必要がないというスタンスです。
一方、日本国内では殺菌処理が定番です。 かといって、海外のミネラルウォーターは危険というわけではありません。
- ミネラル成分や採水時の温度が一定であること
- 採水地で直接ボトリングされていること
- 水質チェックを1日に何度も行う など
安全への取り組みがきちんとされています。 赤ちゃん用のお水であれば、殺菌処理が厳重で軟水の日本産ミネラルウォーターが向くでしょう。
目的に応じて採水地を検討してみましょう。
味
ミネラルウォーターの硬度と成分内容はさまざまです。 季節や天候によって成分が変動することもあります。
水道水に比べるとミネラルウォーターは割高ですから、大量に購入する前に味の確認をしましょう。
まとめ
おいしさや価格、安全性などを比較して、水道水とミネラルウォーターの違いを見てきました。
- 水道水はミネラルウォーターに分類上含まれる
- 製造上の安全基準は水道水の方が高い
- 硬度・成分・味を選びたいならミネラルウォーター
- 価格の安さ重視なら水道水
- 日本産ミネラルウォーターは軟水で赤ちゃんやペットの飲料水として人気
本記事の内容を参考に、コスパや安全面、おいしさなどを考えながら後悔のない飲料水の選択をしてもらえれば幸いです。
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